製造加工便利帳 vol.5 『物流センターとは?役割や種類、倉庫との違いなど基礎知識を解説』
2026年09月18日掲載

物流センターとは、商品の保管だけでなく、入荷・検品・仕分け・ピッキング・流通加工・包装・梱包・出荷など、さまざまな物流業務を担う施設です。倉庫と似ていますが、一般的には担う機能や役割に違いがあります。
本記事では、物流センターの定義や機能、種類、業務の流れから、自社運営と外部委託の違い、委託先を選ぶ際のポイントまで解説します。自社に適した物流体制を検討する際の参考にしてください。
物流センターとは?
・物流センターとは
物流センターとは、商品の保管や荷役(積み下ろし、仕分けなど運送前後の工程)、包装、流通加工など、複数の物流機能を担う施設です。単に商品を保管するだけでなく、入荷から出荷までのさまざまな工程を効率的に処理する役割があります。
物流センターによって備えている機能や対応できる業務が異なり、在庫を保管することを重視した施設や、商品の仕分け・配送に特化した施設、流通加工まで担う施設などがあります。
・物流センターの機能と役割
物流センターには、主に以下5つの機能があります。
保管
仕入先や製造元から届いた商品を安全に預かるだけでなく、出荷されるまでの期間中「商品の品質を維持できる適切な環境」で取扱いに適した荷役・搬送設備等を活用しながら保管・管理します。在庫数量を正確に把握し、商品によっては庫内の温度・湿度の管理も行われます。
輸送
商品を生産地から消費者や小売店、取引先などへ届けるための輸送機能です。トラックのほか、鉄道、海上、航空など、商品の性質や配送先に応じた輸送手段が用いられます。
荷役
荷役(にやく)とは、商品を物流施設内へ入庫したり、出庫したりする作業のことです。ピッキングや配送先ごとの仕分けなども荷役に含まれます。正確かつ効率的に作業することで、誤出荷の防止や作業時間の短縮につながります。
包装・梱包
商品を包装・梱包し、輸送中の破損や汚れなどを防ぐ作業です。商品によって適した包装・梱包方法が異なるため、出荷形態や配送方法に応じた作業が求められます。
流通加工
物流の過程で、商品に付加価値を加える作業です。ラベルや値札の貼付、セット組み、袋詰め、小分けなどが代表的な例です。商品の販売形態に合わせた加工を物流センターで行うことで、納品先や店舗などでの作業負担を軽減できます。
このように物流センターは、商品の保管場所としてだけではなく、入荷から出荷までのさまざまな工程を担う物流拠点としての機能も有しています。
物流センターの種類
物流センターには、役割や機能、立地などによってさまざまな種類があります。同じ「物流センター」という名称でも、在庫を保管するか、流通加工を行うか、配送を重視するかなどによって役割が異なります。
・役割や機能、仕組みによる種類
物流センターの主な種類と業務内容を紹介します。
配送センター
トラック輸送や地域(エリア)への配送を担う拠点です。入荷した商品を配送先やエリアごとに仕分けし、車両へ積み込んで配送します。保管よりも、商品の仕分けや配送を効率よく行うことをメインとする施設です。
デポ
配送のための小型拠点を指します。大型の配送センターなどから商品を受け取り、比較的狭いエリアの配送先へ届けるための拠点として利用されます。多くの在庫を持たず、リードタイムを短縮することを目的としています。
DC(ディストリビューション・センター)
商品を在庫として保管し、注文に応じて出荷する在庫型の物流センターです。あらかじめ商品を保管しておくことで、急な注文でも速やかにピッキングや出荷を行えるため、安定した商品供給につなげられます。正確な在庫管理を行うことで、在庫リスクも抑えることができます。
TC(トランスファー・センター)
商品を在庫として保管せず、入荷した商品を仕分けして配送先へ送り出す通過型の物流センターです。保管を前提としないため、DCとは異なる物流体制を構築できます。
PDC(プロセス・ディストリビューション・センター)
DCのような在庫型の物流センターとしての機能に加え、製品加工・処理などを行う機能を備えた施設です。準工場化された物流センターともいわれ、商品の保管・管理だけでなく、流通加工によって付加価値を加えられる点が特徴です。部品の組み立てや生鮮食品などの高度な加工も行われます。
PC(プロセスセンター)
商品の流通加工を主な機能とする物流センターです。PDCと比べ、加工に重点を置いた施設で、ラッピングや値札付け、詰め合わせ、生鮮食品の加工、組み立てなどを行います。PDCと区別なく使われることもあります。
FC(フルフィルメントセンター)
ECや通信販売など個人向けの小口出荷を行う物流センターです。商品の保管、受注後のピッキング、梱包、出荷、顧客対応など、注文を受けてから商品を届けるまでの一連の業務が行われます。
XD(クロスドックセンター)
商品を在庫として保管せず、複数の仕入先から入荷した商品を別の車両などへ積み替えて出荷するクロスドッキングに特化した物流センターです。保管時間を短縮し、出荷までのリードタイムを短くすることを目的としています。
このように物流センターは、担う役割や機能によってさまざまな種類に分けられます。ただし、実際の物流現場では複数の機能を備えた施設も少なくありません。そのため、名称だけではなく、実際にどのような業務やサービスを提供しているのかを確認することが大切です。
富士宮通運では、製造加工機能と物流機能を同一拠点に備え、保管・出荷に加えて、充填・包装・表示などの製造後工程まで担っています。機能面では、PDCとFCの中間に近いといえます。
・立地による種類
物流センターは、立地によって「生産立地型」と「消費立地型」に分けられます。
生産立地型
生産立地型は、商品が生産される場所の近くに設置される物流センターのことです。生産拠点から物流センターまでの輸送距離を短くできるため、集荷や輸送にかかるコスト・時間を抑えやすいことがメリットです。
消費立地型
消費立地型は、商品を消費する場所の近くに設置される物流センターのことです。配送先に近い場所から出荷することにより、配送時間の短縮が可能です。短時間での商品配送が求められる場合などに適した立地といえます。
物流センターと倉庫の違い
・物流センターと倉庫の違い
「物流センター」と「倉庫」は、どちらも商品を保管する場所として使われますが、一般的には担う機能の範囲に違いがあります。
| 比較項目 | 物流センター | 倉庫 |
| 主な目的 | 保管を含む物流業務 | 商品の保管 |
| 対応業務 | 入荷・保管・荷役・流通加工・包装・出荷など | 入庫・保管・出庫など |
| 加工作業 | 流通加工などを行う施設もある | 施設によって異なる |
| 役割 | 商品を効率的に入荷・保管・加工・出荷する | 商品を適切に保管する |
物流センターでは、商品の保管だけでなく、ラベル貼付やセット組みなど、納品先や販売者にとって付加価値となる作業を行う場合があります。そのため、物流業務の一部を外部委託したい企業にとっては、単なる保管スペースではなく、必要な工程をまとめて任せられるかどうかがポイントになります。一方、倉庫は、商品を適切な状態で保管することを主な目的としています。
富士宮通運では、倉庫エリアと製造エリアを同一建屋内に備えています。一つの拠点で製造加工から保管、出荷までの工程をつなげられることが特徴です。
物流センターの主な業務の流れ
物流センターでは、主に以下のような流れで業務が行われます。
1.入荷・検品・仕分け
仕入先や製造元から商品が届いたら、数量や品番、ロットなどを確認します。入荷時の検品で問題がなければ、保管する場所や出荷先などに応じて仕分けします。
富士宮通運では、全天候型の倉庫を備えており、雨天時でも商品を濡らすことなく入荷作業を行える環境を整えています。
2.保管
入荷・検品・仕分けを終えた商品は、出荷まで倉庫内で保管します。商品を適切な状態で保管し、在庫数量や保管状況を管理します。
3.ピッキング
出荷指示に基づき、保管場所から必要な商品を取り出す作業です。商品や注文内容に応じて、1件ずつ商品を集める方法(摘み取り方式)や、複数の注文をまとめて処理する方法(種まき方式)などがあります。
4.流通加工
物流センターでは、出荷前の商品に必要な加工を行うことがあります。ラベルや値札の貼付、セット組み、袋詰め、小分けなどが代表的な作業です。流通加工を物流センターで行うことで、納品先や店舗などでの作業を減らし、業務を効率化できます。
5.検品
流通加工やピッキングなどの工程を終えた商品について、出荷内容に間違いがないかを確認します。品番や数量、外観などを確認し、問題がなければ次の包装・梱包工程へ進みます。
6.包装・梱包
出荷する商品を適切な資材で包装・梱包します。商品の破損や汚れを防ぐだけでなく、配送先や輸送方法に適した形に整えることも重要です。梱包作業で使用するカッターやハサミなどが混入しないように細心の注意を払います。
7.出荷
包装・梱包を終えた商品を配送先ごとに仕分けし、輸送車両へ積み込みます。入荷から出荷までの情報を適切に管理することで、在庫管理や出荷状況の確認にもつながります。
富士宮通運では、製造加工や保管を含む一連の業務で、健康食品GMPおよび国際規格ISO 22716(化粧品GMP)などに基づく品質管理を行っています。製造加工だけでなく、倉庫での保管も含めて品質管理の考え方を適用しています。
物流センターの自社運営と外部委託
物流センターの運営方法には、大きく「自社運営」と「外部委託」の2つがあります。
・自社運営と外部委託の違い
自社運営では、自社で物流施設や設備、人員を用意して物流業務を管理します。一方、外部委託では、物流事業者が保有・運営する施設などを利用し、保管や荷役、流通加工、出荷などの業務を委託します。
・自社運営のメリット・デメリット
自社運営の大きなメリットは、自社の商品や業務内容に合わせて細かく運用を設計しやすいことです。設備や作業方法なども自社の事情に応じて決めやすく、物流に関するノウハウを社内に蓄積できます。
一方で、施設や設備への初期投資費用に加え、人員の採用・教育・管理などの人的コストがかかり、物流センターが稼動するまでに時間を要します。また、出荷量が増えた場合には、倉庫のスペースや人員の確保が必要で、反対に出荷量が減った場合には、設備費用や人件費などの固定費を抱えるなどの課題もあります。
・外部委託のメリット・デメリット
外部委託では、自社で物流施設や設備、人員を用意する負担を抑えながら、専門の物流事業者の機能を利用できます。物流量が増減する場合にも、委託先の人員や設備を活用できることがあります。また、物流業務を外部に委ねることで、自社の経営資源を商品開発や営業などの業務に集中させやすくなります。
一方で、委託先によって設備、システム、対応できる業務などが異なるため、自社の商品の特性や出荷形態に合っていない事業者を選んでしまうと、委託コストがかかるうえに、業務効率がかえって低下する可能性もあります。そのため、価格だけでなく、対応できる業務範囲、品質管理、立地、配送体制などを確認して選ぶことが大切です。
物流センターを外部委託する際の選び方
ここでは物流センターを外部委託する際の選び方を、4つのポイントに分けて解説します。
ポイント1:設備・サービス内容
物流センターを選ぶ際は、自社の商品や業務に必要な設備・サービスがそろっているかを確認します。商品の保管だけでなく、検品、ピッキング、流通加工、包装・梱包、出荷など、どこまでの工程を委託できるかを確認しておきましょう。
特に食品や化粧品など、温度管理や品質管理が重要な商品を取り扱う場合は、求める管理方法やISO、GMPなどの品質管理基準を満たしているかを確認することも大切です。
また近年、夏場は猛暑の影響で常温倉庫の内部が高温になったり、室内外を行き来する際の温度変化で結露が発生したりするなどの可能性があります。常温品でも注意が必要なため、どのような対策をしているかも確認できるとベターです。
富士宮通運は標高約380mの場所にあり、1年を通して倉庫内が比較的涼しい環境です。庫内温度は定点観測しており、一部の保管エリアでは定温設備を備えていませんが、庫内温度は30℃を下回る保管環境を提供することも可能です。
ポイント2:立地・交通アクセス
物流センターの立地は、輸送コストやリードタイムに影響します。高速道路などの幹線道路へのアクセスだけでなく、港湾との距離や主要な配送先との位置関係も確認しましょう。
富士宮通運は静岡県富士宮市に拠点を置いています。新東名高速道路の新富士ICから約10~15km、清水港から直線距離で約35kmという立地で、海上輸送を利用する場合にも適しています。
ポイント3:配送エリア
自社の主な納品先が、物流センターから無理なく配送できるエリアに含まれているかも重要です。一般的に大型物流センターの方が、配送可能エリアが広い場合が多いです。
富士宮通運は日本のほぼ中央である静岡県に本社を構えており、日本全国に配送が可能です。
ポイント4:サポート体制
物流センターを外部委託する場合は、通常の業務だけでなく、物量が増えたときやトラブルが発生したときのサポート体制も確認しておきたいポイントです。例えば、セールやキャンペーンなどで出荷量が増える場合は、事前に時期や想定される出荷量を伝えておくことで、人員や車両の準備がしやすくなります。
物流センターを選ぶ際は、現在の物量だけでなく、今後の事業拡大や繁忙期なども含めて相談できる事業者を選ぶと良いでしょう。
物流センターに関するよくある質問
Q:自社運営と外部委託、どちらが良いのでしょうか。
A:それぞれのメリット・デメリットや、自社の将来的な展望、課題などから複合的に判断するのがおすすめです。
自社運営は、物流業務を自社の方針に合わせやすい一方、施設や設備、人員などを自社で用意する必要があります。外部委託は、専門事業者の設備やノウハウを利用できる反面、委託先のサービス内容や品質管理体制などを事前に確認する必要があります。
例えば、現在は自社物流で対応できていても、事業拡大などによって出荷量が増えると、倉庫スペースや人員が不足する可能性があります。反対に、出荷量が減った場合は自社で施設を保有することが負担になる場合も。単純なコストだけで比較せず、現在の課題と今後の事業展開を踏まえて検討することが大切です。
Q:自社で利用しているECシステムとの連携はできますか?
A:物流センターが導入しているWMSや自社のECシステムによって異なるため、事前の確認が必要です。
物流センターでは、WMS(倉庫管理システム)などを利用して在庫や入出荷を管理しています。主要なECシステムであれば連携できるケースが多いですが、自社で開発した独自システムなどの場合には、別途システム開発などが必要になる可能性があります。
富士宮通運では、取り扱う規模やシステムの要件に応じて、鈴与グループのシステムも活用した物流体制をご提案できる場合があります。具体的なシステム要件と合わせてご相談ください。
Q:セールなどで一時的に注文数が増加する場合でも柔軟に対応できますか?
A:物流センターの規模にもよりますが、事前に時期や出荷量を共有することで対応可能な場合が多いです。
物流センターでは、出荷量が増えるとピッキングや梱包などの作業量も増加します。特に個人向け(BtoC)の出荷では、1件ごとにピッキングや梱包が行われるため、物量の増加に応じて人員の確保や作業ラインの拡張が必要になります。上限が設定されていたり、申請期日などがあったりする場合もあるため、事前に運用ルールを確認しておきましょう。
富士宮通運では、法人向け(BtoB)の出荷を中心に取り扱っています。出荷量が増加する場合は、約1カ月前を目安に内容や予定をご連絡いただくことで、車両手配や保管・配送の準備を進めやすくなります。
Q:温度管理(定温・冷蔵・冷凍)が必要な商品でも対応してもらえますか?
A:必要な温度帯に対応した設備を備えているか、事前に確認することが重要です。
冷蔵・冷凍など、厳格な温度管理が必要な商品を保管する場合は、対応する設備を備えた物流センターを選ぶ必要があります。また、近年は猛暑の影響で室内外の温度差による製品の劣化が発生しやすい状況が続いているため、保管中の温度をどのように確認・記録しているかも確認しておきたいポイントです。
富士宮通運は倉庫内を定温に保つための設備は保有していませんが、地域的な気候特性や建物の構造により一部の保管エリアでは夏場でも庫内温度が26℃~28℃以内に保たれており、温度・湿度は全ての保管エリアで24時間365日モニタリングをしています。また、製造加工から出荷業務まで一気通貫で対応しているため、工程間の移動を減らし、温度変化を抑えやすい点も特徴です。冷蔵・冷凍などの設備が必要な場合には、鈴与グループのネットワークを活用して、条件に応じた保管・輸送方法を調整手配できますので、ぜひご相談ください。
まとめ
物流センターは、商品の保管だけでなく、入荷・検品・仕分け・ピッキング・流通加工・包装・梱包・出荷など、さまざまな物流業務を担う施設です。施設によって機能や設備、対応できる業務が異なるため、自社の商品や物流量、配送先などに適した拠点を選ぶことが重要です。物流センターを外部委託する場合は、設備やサービス内容だけでなく、立地、配送エリア、サポート体制なども確認しましょう。
富士宮通運では、倉庫エリアと製造エリアを同一建屋内に備え、製造加工から保管・出荷までを一拠点で行える体制を整えています。さらに、健康食品GMPおよび国際規格ISO 22716(化粧品GMP)などの品質管理基準に基づく製造加工・保管を行っています。物流センターの利用や製造加工と物流の一括委託を検討している場合は、ぜひご相談ください。